2019年08月26日
【くらしに関する法律知識】ニュース:所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法
LTRでは、本ブログを通して皆さまのお役に立てるくらしに関する法律知識・情報を定期的に発信していきます。
今回はニュース「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法」を紹介します。
018(平成30)年度の税制改正では、「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法」(以下、「所有者不明土地特措法」)が新設されています。
この法律は私たちの生活などに直接影響を及ぼさないため、その詳細を知らない方も多いと思います。そこで、所有者不明土地問題に一翼を担うかもしれない「土地の相続登記に対する登録免許税の免税措置」と、閣議決定された「所有者不明土地特措法」について解説します。
◆土地の相続登記に対する登録免許税の免税措置
「所有者不明土地特措法」では、主に地方自治体が所有者不明土地に対してアプローチしやすくなるという内容が中心となっています。ただ、国や自治体ばかりが動いているのでは「おんぶにだっこ」にしかならず、所有者の自発的な対応には結びつきにくいでしょう。そこで考えられたのが、「土地の相続登記に対する登録免許税の免税措置」です。
この「土地の相続登記に対する登録免許税の免税措置」を一言でいうと、「土地を相続した人が相続登記をしないで死亡した場合の登録免許税の免税措置」です。
たとえば、所有者Aの土地をBが相続で所有権を取得したとします。その後、Bが死亡した後にCがその土地を相続することになっても、「AB間の相続に関わる登録免許税についてCは免税される」というものです。つまり、AとB、BとCという間にある2つの登録免許税のうち、AとBの間での登録免許税が無しになるということです。
さらに、価格10万円以下の所有者不明土地については、相続登記を促進するために「所有者不明土地特措法」の施行から2021年3月31日までに所有権登記をする場合の登録免許税が免税となります(法務大臣の指定がある場合に限る)。
このように、「所有者不明土地特措法」では自治体に任せきりにするのではなく、土地所有者の自発的な相続登記を促そうという登録免許税の免税措置の2つを柱として、問題解決への足掛かりとしたい考えが見受けられます。