2019年07月15日
【くらしに関する法律知識】母が認知症の場合の遺産分割は?
LTRでは、本ブログを通して皆さまのお役に立てるくらしに関する法律知識・情報を定期的に発信していきます。
今回は「母が認知症の場合の遺産分割は?」を紹介します。
<状況>
高齢社会に伴って相続人となりうる人のなかで、認知症にかかっているケースも多いと思われます。そして、もし母親がそのような症状を患っている場合、遺産分割はどのように進めればいいのでしょうか?
<解決法>
認知症の方は判断能力に疑義がある場合があり、その際は法律行為である遺産分割を行うことはできません(知的障害や精神障害等も同様)。そのため、相続人に認知症の人がいる場合には、「成年後見制度」を利用することになります。
■成年後見制度とは
認知症や知的障害・精神障害などによって自分の物事を判断する能力が不十分な人を保護するために設けられた制度です。事理弁識能力を欠く人が単独で物事を判断・実行しようとすると、他人に利用されて財産が本人の意思に関係なく処分されてしまう恐れがあります。
そこで、こうした人をサポートする後見人を家庭裁判所が選定し、本人の代理などを行わせることで支援・保護します。後見人には、多くの場合、同居の親族や弁護士、行政書士、司法書士、社会福祉士などの専門家が選定されます。
■事理弁識能力を欠く相続人がいる場合の手続き
@事理弁識能力を欠く相続人に法定後見人をつけるため、家庭裁判所で「後見開始の審判」を行って後見人を選任
A選任された成年後見人が事理弁識能力を欠く相続人の代理人となり、他の相続人との遺産分割協議に参加
B遺産分割協議がまとまったら遺産分割協議書を作成。その内容に応じて、必要な手続き(遺産の名義変更など。必要な署名なども成年後見人が代理で行う)を行う
■成年後見人の選任と手続き
家庭裁判所による成年後見人の選任手続きは、数か月から1年近くかかるといわれています。手続きの詳細は、以下のとおりです。