2019年07月03日
【くらしに関する法律知識】相続時精算課税を受けた後の贈与
LTRでは、本ブログを通して皆さまのお役に立てるくらしに関する法律知識・情報を定期的に発信していきます。
今回は「相続時精算課税を受けた後の贈与」を紹介します。
♦「相続時精算課税」とは
「相続時精算課税」は、父母や祖父母から贈与を受けた場合に届出をすることで、2,500万円まで贈与税を非課税とする制度です。ただし、贈与税がかからない代わりに、その贈与をした者(特定贈与者といいます)の相続時には、その贈与を受けた財産を相続財産に加算して相続税を計算することになります。贈与税を支払った場合には、相続税から控除して贈与税相続税を通じて税金を精算することになります。
なお、「相続時精算課税」を選択した場合は、その特定贈与者からの贈与はその後もすべて相続時精算課税を適用することになります。
♦「相続時精算課税」を適用した後に贈与を受けても、累計2,500万円の範囲なら贈与税はかからない
「相続時精算課税」の制度を活用すると、通常の暦年課税(110万円までは贈与税がかからない)は適用することができなくなりますが、特定贈与者以外の者からの贈与には暦年課税が適用されます。また、この相続時精算課税には2,500万円の控除があり、「累計して2,500万円までは贈与税がかからない」ことになります。
ある年に1,500万円の贈与を受けて「相続時精算課税」を適用した場合、次の年に500万円、また次の年に500万円を特定贈与者から贈与として受けても、累計2,500万円の範囲であれば贈与税は発生しないわけです。累計2,500万円を超えた場合は、その超えた金額に20%の贈与税がかかります。
♦適用するには、贈与を受けた年の翌年3月15日までの申告が必要
ただし、注意しなければいけない点があります。それは、「申告をすることが条件」になっているということです。しかも、期限内申告が条件です。贈与税の申告は、所得税の確定申告と同様、贈与を受けた年の翌年3月15日までです。
上記の例で言うと、1,500万円の贈与を受け相続時精算課税を適用した翌年に、その特定贈与者から500万円の贈与を受けました。当然、「2,000万円の範囲内なので、贈与税はかからない」と安心してしまうかもしれません。しかし、この500万円の贈与についても、翌年3月15日までに贈与税の申告をしなければならないのです。
もし、この申告をしなかった場合には、贈与した500万円については2,500万円までの控除が認められず、20%の税金を払う必要が生じます。これは、要注意です。