2019年06月04日
【くらしに関する法律知識】遺産の自宅を相続人共有のままにしておきたい
LTRでは、本ブログを通して皆さまのお役に立てるくらしに関する法律知識・情報を定期的に発信していきます。
今回は「遺産の自宅を相続人共有のままにしておきたい」を紹介します。
<状況>
父親が亡くなり、姉弟二人で相続の手続きをしています。ただし、財産は自宅しかなく、どうするかかなり迷いました。結局、話し合いがまとまらず、ひとまずはこのまま共有名義にしておくことになりそうです。共有名義のメリットとデメリットを教えてください。
<メリット>
■勝手に売却や担保設定をされない
共有名義ですから、原則的には自分の好き勝手にはできません。不動産全体の売却や、その不動産全体を担保に入れて借り入れなどを行う場合には、共有名義人全員の同意が必要です。ただ、名義人の持ち分のみを担保に処分することは可能です。
■マイホーム特例を各人で使える
売却した際には、通常「所得税」がかかります。場合によっては、この所得税(譲渡所得)が多額になってしまうこともありますが、マイホーム(自宅)を売却する場合はその税金が大幅に安くなる特例を活用できます。
<デメリット>
■名義人全員の承諾がないと処分できない
共有名義人のうちの一人が不動産全体を売却したいと思っても、他の共有名義人が売却に同意をしてくれない場合には売却できません。
■名義人が細分化される恐れがある
共有名義人の一人が亡くなると、その相続人がまた共有名義人となります。この流れが各共有名義人に発生すると、どんどん共有名義人が増加し権利も細分化していきます。