2019年06月01日
【くらしに関するトラブル対処法】相続人の一人が相続財産を隠している可能性
LTRでは、本ブログを通して皆さまのお役に立てるくらしに関する法律知識・情報を定期的に発信していきます。
今回はトラブル対処法「相続人の一人が相続財産を隠している可能性 」を紹介します。
<状況>
あなたがご両親と離れた地で暮らしていて、ご兄弟が実家で両親の面倒を見ていたとします。あなたはご両親の預金残高や資産状況は分かりませんが、兄弟は両親の財産を管理していて確実に把握しています。
そんな折、両親がご逝去され、あなたのもとに兄弟が依頼した弁護士を通じて両親名義の銀行口座の残高証明書が送られてきました。しかし、両親の資産状況を考えるととても全財産とは思えませんでした。
<解決法>
■遺産分割調停
遺産分割調停では、通常、調停委員から相続財産の開示を求められます。ここで相続財産が明確になることもあります。ただ、相続財産が明らかにされなくても、家庭裁判所は財産の調査を行ってくれるわけではありません。
■口座取引履歴の開示請求
隠し財産を調べる方法として、もっとも有効な手段は金融機関への口座取引履歴の開示請求です。これでお金の流れが分かり、もし不審な引き出しがあれば、遺産隠しを追求できます。取引履歴の開示請求は、相続人全員の同意がなくても金融機関に請求できます。
■遺産分割協議が無効になる可能性を示唆する
遺産分割協議では、全員合意の事項を書面化することが必要です。もし、相続財産の意図的な隠蔽が分かったら、後で遺産分割協議の無効を訴え出せます。この申し立てには時効がありません。なお、遺産分割協議書の作成は法的な専門職である第三者に依頼することをお勧めします。