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2021年02月19日

コロナ禍での不動産業界と住環境の変化

LTRでは、本ブログを通して経営者の皆さまのお役に立てる情報を定期的に発信していきます。
今回は「コロナ禍での不動産業界と住環境の変化」を紹介します。
※こちらの記事は「LTR通信2021冬号」に掲載中です。


昨年末には予想だにしなかった世界市況。日本でもホテルや商業施設、飲食店などが影響を受けています。飲食店の中には、オーナー(大家)側 に早くから相談し、家賃の減額を受けている方もいれば、手持ちの資金を切り崩し、家賃の減額請求をしていない方もいます。家賃の値引き率に関しては目に見えることは少なく、各オーナー次第という印象です。不動産賃貸仲介の業況は大幅に悪化し、クラスココンサルファームによる調査結果(2020年8月)では「家賃の減額請求が増えた」が72.4%でした。

消費が以前のように回復する期待は薄く、新型コロナウイルス関連の補助金などを活用し“痛手が浅いうちに撤退”という選択も増えています。推察するに第3波の到来や経済情勢が読めない状況から、これら業態への投資は消極的になっていると感じます。ただ、こんなときだからこそ「良い立地に新業態で臨みたい」との声も出ています。

打開策として、オーナー側がまず、国及び自治体の「コロナ対策の各種補助制度」を理解し情報提供することで、家賃の減額要請をしなくても良い、もしくは支払いを当面先延ばしできる効果が見込めるかもしれません。「家賃支援給付金」は、新型コロナウイルスの影響で大幅な収入減少に見舞われた事業者の事業継続のため、固定費の中でも大きな負担となる家賃負担の軽減を目的に支給される給付金です。対象となる事業者すべてへの給付を想定し、2兆242億円の予算が計上されています。

コロナ禍で、不動産流通も取引が停滞していますが、潜在的な顧客も多いことから、手の届きやすい価格帯の商品は戻り始めている印象です。

そんな中で、不動産のニーズにも変化が!「LIFULL HOME'Sコロナ禍での借りて住みたい街ランキング」で4年連続1位の池袋が5位にダウン。上位は、本厚木・葛西・大宮・千葉と葛西以外はランクアップしています。共通点は、都心へのアクセスに多少時間がかかるものの、乗り換えが不要なエリアや、郊外のターミナル駅に生活利便性があるエリア。在宅勤務により「安心・安全な居住先を選びたい」という意識が高まっているのでしょうか。この郊外化志向は、都心から離れた場所にも拡散していることから、在宅勤務に適した住環境が整った街選びをしている傾向が考察できます。今後は暮らしに特化した住宅も、在宅勤務を前提に設計されるなど、新しい生活環境に向けての開発が進むでしょう。

職場環境については、IT系業種と都市部のハイグレードオフィスの相性が良いこともあり、移転や見直しもありそうです。一方で、通信インフラや環境整備が求められ、見直せない業種もあります。この課題を解決できれば、さらに在宅勤務が進み、働き方や住む場所において不動産業態の考え方が変わることもあるでしょう。個人的には、強気な賃料設定をしてきたオーナー側も、アフターコロナに向け柔軟に対応し、もう少し安価で新規参入がしやすい環境に進めば良い、と考えざるをえません。

不動産市況は先行きが読みにくい状態ですが、アフターコロナの未来、旧態依然の発想では乗り遅れる可能性が大きいと感じます。新型コロナウイルスをきっかけとした変化は一時的なものではなく、以前と同じ状況に戻ることはないともいわれています。今後も、居住地や居住形態の選択肢を拡大するなど、市場の変化に合わせた速やかな戦略転換が必要です。

どんな市場の変化にも柔軟に対応できるよう、顧客のニーズをキャッチし、スピード感のある行動がより必要となる2021年。LTRもあらゆる面で皆さまのお役に立つために、全力でしっかり歩んでいきたいと思っています。(公認不動産コンサルティングマスター 大川 日出幸)

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