お役立ち情報
2022年07月18日 [お役立ち情報]
「知的財産に関する専門家『弁理士』とは?」(パート2)
こんにちは。弁理士の海田 浩明(かいた・ひろあき)です。LTRに所属して数年が経ちますが、最近は弁護士や司法書士などのメンバーと連携し、お客さまのサポートをする機会が増えるようになりました。
前回(パート1)は、弁理士の仕事や、「知的財産」の基本的な内容をお話しさせていただきました。今回は、実際のビジネスにおいて「どんな場面で弁理士を活用するか?」を軸に、「知的財産」についてさらに深掘りした内容をお届けします。ぜひご覧ください!
▶前回の記事(パート1)もあわせてご覧ください。
「知的財産に関する専門家『弁理士』とは?」(パート1)
新しい事業やサービスを立ち上げる場合、事前に知的財産に関しての対応を進めることが重要になります。その中の一つが、名称やマーク(商標識別)の確認です。まずは調査をおこない、同じ商品やサービスのカテゴリで既に商標が登録されていないかをチェックします。
◆商標について・・・商標とは、事業者が、自社の取り扱う商品・サービスを他社のものと区別するために使用するマーク(識別標識)のことです。一般消費者は、商品を購入したりサービスを利用したりするときに、企業のマークや商品・サービスのネーミングである「商標」を一つの目印として選んでいます。また、事業者にとっては、営業努力によって商品やサービスに対する消費者の信用を積み重ねることにより、商標にブランドイメージがついていきます。これにより、事業者は、自社の商品やサービスが他社の商品等と間違われないようにアピールすることができます。このような、商品やサービスに付ける「マーク」や「ネーミング」を知的財産として守るのが商標権です。
もし既に登録されていた場合、名称を変更しなければなりません。だからこそ、早い段階での確認がポイントとなります。正式なサービスの開始日が決まらない状況でも、名称が社内で決まったタイミングで確認しておく方がよいでしょう。
たとえばサービスに関連した準備が進み、あらゆる資料に名称(マーク)を使用した後で、それが“別の企業で使用されていた”と分かったら、会社にとっては大きなリスクになります。
また、登録の確認をすると同時に、商標登録を進めるのがおすすめです。なぜなら名称が世の中に出た途端、第三者に真似される可能性もあるからです。
商標権は侵害されるだけでなく、知らないうちに侵害しているケースもあります。先日も、ある企業の開発担当の方から、このような相談を受けました。
「新しいサービスの開始の直前に、商標権が取られていたことが分かりました。少し個性的なネーミングだったので、まさかとは思ったのですが・・・。どうしたらいいのでしょうか?」
実は、「大丈夫だと思い込んでいた」「知的財産に関する知識が乏しかった」など、このような相談は少なくありません。今回は、正式なサービス開始の前であったため、名前を変えて商標登録を行いましたが、そのまま確認をせずに使用していた場合は、「商標権を侵害している状態」となり、侵害者となってしまいます。さらに権利者側から「このまま使用を続けるなら訴えます」というような警告があった場合には、その後の裁判で多額の損害賠償金額を科されることになる可能性が有るため、注意が必要なのです。
私の事務所では、お客さまに“最適な知的財産戦略を構築すること”をモット―としています。そのために大事にしているのは、打合せの時間です。知的財産について理解が浅いお客さまには、基本的な内容をご説明した上でベストな提案を行います。
前回のコラムでもお話ししましたが、主な知的財産権には、「特許」「意匠」「実用新案」「商標」があり、保護する対象により取得する権利が異なります。そして、場合によっては複数を取得した方がよい場合も!
たとえば、「特許」だけでなく「意匠」の申請を同時に行うケースもあります。発明やアイデアの保護をする「特許」に対して、物品の美的な外観=デザインを保護するのが「意匠」です。デザインの中にアイデアの要素も含まれている場合は、“両方の権利を取得する”方法のほか、いずれか一方がよい場合もあるため、費用面や商品特性などを整理して総合的に判断していきます。
判断基準としては、“丸ごとコピーされてしまう可能性がある”といった商品は、「意匠」を取得する方がよいでしょう。また、アイデアが比較的シンプルなため、「特許」の取得が難しそうな場合にも、「意匠」の取得の方が向いているかもしれません。
このように単純に特許出願を勧めるのではなく、情報を精査しながらお客さまに的確なアドバイスをし、ベストな提案へと導くのも弁理士の大切な役割です。
これからも、知的財産に関する要望に迅速にお応えしながら、お客さま(企業)をしっかりと守り、企業価値を最大化できる弁理士でありたいと思っています。
前回(パート1)は、弁理士の仕事や、「知的財産」の基本的な内容をお話しさせていただきました。今回は、実際のビジネスにおいて「どんな場面で弁理士を活用するか?」を軸に、「知的財産」についてさらに深掘りした内容をお届けします。ぜひご覧ください!
▶前回の記事(パート1)もあわせてご覧ください。
「知的財産に関する専門家『弁理士』とは?」(パート1)
商標登録の重要性とは?
新しい事業やサービスを立ち上げる場合、事前に知的財産に関しての対応を進めることが重要になります。その中の一つが、名称やマーク(商標識別)の確認です。まずは調査をおこない、同じ商品やサービスのカテゴリで既に商標が登録されていないかをチェックします。
◆商標について・・・商標とは、事業者が、自社の取り扱う商品・サービスを他社のものと区別するために使用するマーク(識別標識)のことです。一般消費者は、商品を購入したりサービスを利用したりするときに、企業のマークや商品・サービスのネーミングである「商標」を一つの目印として選んでいます。また、事業者にとっては、営業努力によって商品やサービスに対する消費者の信用を積み重ねることにより、商標にブランドイメージがついていきます。これにより、事業者は、自社の商品やサービスが他社の商品等と間違われないようにアピールすることができます。このような、商品やサービスに付ける「マーク」や「ネーミング」を知的財産として守るのが商標権です。
もし既に登録されていた場合、名称を変更しなければなりません。だからこそ、早い段階での確認がポイントとなります。正式なサービスの開始日が決まらない状況でも、名称が社内で決まったタイミングで確認しておく方がよいでしょう。
たとえばサービスに関連した準備が進み、あらゆる資料に名称(マーク)を使用した後で、それが“別の企業で使用されていた”と分かったら、会社にとっては大きなリスクになります。
また、登録の確認をすると同時に、商標登録を進めるのがおすすめです。なぜなら名称が世の中に出た途端、第三者に真似される可能性もあるからです。
知らずに「商標権を侵害している」場合も?
商標権は侵害されるだけでなく、知らないうちに侵害しているケースもあります。先日も、ある企業の開発担当の方から、このような相談を受けました。
「新しいサービスの開始の直前に、商標権が取られていたことが分かりました。少し個性的なネーミングだったので、まさかとは思ったのですが・・・。どうしたらいいのでしょうか?」
実は、「大丈夫だと思い込んでいた」「知的財産に関する知識が乏しかった」など、このような相談は少なくありません。今回は、正式なサービス開始の前であったため、名前を変えて商標登録を行いましたが、そのまま確認をせずに使用していた場合は、「商標権を侵害している状態」となり、侵害者となってしまいます。さらに権利者側から「このまま使用を続けるなら訴えます」というような警告があった場合には、その後の裁判で多額の損害賠償金額を科されることになる可能性が有るため、注意が必要なのです。
複数の知的財産権を申請するケース
私の事務所では、お客さまに“最適な知的財産戦略を構築すること”をモット―としています。そのために大事にしているのは、打合せの時間です。知的財産について理解が浅いお客さまには、基本的な内容をご説明した上でベストな提案を行います。
前回のコラムでもお話ししましたが、主な知的財産権には、「特許」「意匠」「実用新案」「商標」があり、保護する対象により取得する権利が異なります。そして、場合によっては複数を取得した方がよい場合も!
たとえば、「特許」だけでなく「意匠」の申請を同時に行うケースもあります。発明やアイデアの保護をする「特許」に対して、物品の美的な外観=デザインを保護するのが「意匠」です。デザインの中にアイデアの要素も含まれている場合は、“両方の権利を取得する”方法のほか、いずれか一方がよい場合もあるため、費用面や商品特性などを整理して総合的に判断していきます。
判断基準としては、“丸ごとコピーされてしまう可能性がある”といった商品は、「意匠」を取得する方がよいでしょう。また、アイデアが比較的シンプルなため、「特許」の取得が難しそうな場合にも、「意匠」の取得の方が向いているかもしれません。
このように単純に特許出願を勧めるのではなく、情報を精査しながらお客さまに的確なアドバイスをし、ベストな提案へと導くのも弁理士の大切な役割です。
これからも、知的財産に関する要望に迅速にお応えしながら、お客さま(企業)をしっかりと守り、企業価値を最大化できる弁理士でありたいと思っています。