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LTR通信
2024年10月20日 [LTR通信]

【LTR- Voice 】今こそ実践! 会社が変わる「自律型組織」のつくり方

※こちらの記事は「LTR通信2024秋冬号」に掲載中です。

ここ数年「自律型組織」という言葉をよく耳にするようになりました。「自律型組織」とは、社員が自らの意志で動き、積極的に業務をこなせる組織のこと。この形が定着していると、一人ひとりが自分のすべきことを見つけ率先して取り組むため、人材の育つスピードが速いとも言われています。

では実際「自律型組織」によって、どのような変化がもたらされるのでしょうか。今回は中小企業診断士の西端氏が、「自律型組織」の実現に向けて行うこと、「自律型組織」をつくるためのポイントなどを分かりやすく解説します。




中小企業診断士として企業を支援させていただく中で、従来型の組織が“自律型に転換する過程”を私はたびたび目にしてきました。そこで強く感じたのは、「業界や業種に関係なく、自律型組織に変われる!」ということです。同時に、「モチベーション」こそが、自律型組織を実現させるために必要不可欠なものだと実感しました。

先日も、とある製造業の経営者の方から、ある相談が! 「人によって生産性が異なり、仕事ができる従業員ほど離れていってしまう状況に悩んでいます。マニュアル化やタスクの見直しなどもやってはいますが、業務の合間に進めるには限界もあるようで……。何から手をつけるべきでしょうか?」

この話を聞いた私は、まず従業員の生産性向上を目指すこと、そのためには、モチベーションアップを図ることが重要だとお伝えしました。

臨床心理学者のフレデリック・ハーズバーグ氏は、モチベーションを高めるには、衛生要因と動機づけ要因の二つが必要だと述べています。

■衛生要因…労働条件・待遇・人間関係など不満の解消に関するもの
■動機づけ要因…仕事内容・達成感・個人の成長など満足感を高めるもの

中小企業にとって、動機づけ要因を充実させることは、非常に大きな課題かもしれません。しかし、会社がそれらに取り組む姿勢を社員に示すだけでも、必ず効果があります。


では実際、自律型組織をつくる際には、どんなアプローチを行えばよいのでしょうか? そのために必要な三つのポイントをお伝えします。

【ポイント1】社長と幹部が会社の未来を議論
●それぞれが抱く夢や理想を自由に語り合う
●どのような会社に成長させたいかを話し合う

(議論が進まない場合は、「こんなふうになったら良いな」というレベルから始めてみる)
●複数回にわたり議論の場を設け、それをベースに事業計画書を作成する
(事業計画書は、A4用紙1枚程度でOK! 社長と経営幹部が、話し合いを重ねながら作成することがポイント)

経営幹部が会社の未来に直接関わることで、彼らが大きく成長し、さらに会社への帰属意識を高めることで、組織全体に一体感が生まれます。これが、自律型組織の構築に繋つながるのです。自由に議論することで、会社全体の風通しが良くなることも! 自分のアイディアを積極的に提案できる風土は、自律型組織への足がかりになります。


【ポイント2】社内でのチーム活動の実施
●経営幹部が主体となり、社内の改善プロジェクトチームを立ち上げる
●プロジェクト内でテーマを選定する
(従来の仕事のやり方を変える必要があるため、社内の仕組みを改善するプロジェクトといった<仕事に直結するテーマ>を選ぶ)

テーマに関して補足すると、たとえば5S活動や不良率改善をミッションとして掲げるなら現場改善プロジェクト、人事担当が参加するなら人事制度構築プロジェクトのような内容です。

プロジェクト活動で重要なのは、会議の進め方、特に会議での活発な議論です。メンバーが発言しやすい環境を整え、司会や議事録担当を持ち回りにする、ディスカッションで否定的な意見を言う際には必ず具体的な案を提示するなどの活動が社員一人ひとりの会社運営への参加意識を高め、自律型組織へと導いてゆきます。


【ポイント3】制度を整え、社内報告会を開催
●会社の方向性を示すもの(経営理念や会社の将来、事業計画など)、経営幹部が主体のプロジェクト活動によってできた決まりごと(社内制度、人事制度、営業マニュアル、工場内規定など)を社内で公表する
公表する方法はメールでもよいですが、年に一度、会社主体で報告会を開くのもおすすめです。

自律型組織をつくるためのポイントをおさえたら、まずは実践してみましょう。この形が定着することで、一人ひとりの仕事に対する姿勢が大きく変化するはずです。やる気と少しの時間があれば、業界や業種に関係なく実現可能な自律型組織、一度チャレンジしてみませんか。 
(中小企業診断士 西端 望)

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