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LTR通信
2022年10月05日 [LTR通信]

【ハマ街ビト】(番外編/後編)外国人材を生かす〜外国人技能実習制度について知る〜

横須賀・横浜エリアを中心に、介護事業を展開している株式会社スマイルは、途上国への技能移転による国際協力が目的である「外国人技能実習制度」を採り入れ、2020年2月にはじめての技能実習生をインドネシアより迎えました。現在も、異国の地で頑張る実習生たちをサポートしながら、気持ちよく働くことのできる環境づくりに奔走しています。

前回(番外編/前編)では、そんな実習生たちが日本でより快適に、安心して暮らせることを目的に作られたカフェ「HARAPAN」について、ご紹介しました。今回の後編では、LTRメンバーでもある行政書士の藤森 純一氏に、「外国人材の採用」「技能実習生の受け入れ」をテーマにお話しいただきます。




――まずは、外国人の採用(受け入れ)を検討している企業・担当者に向けてのアドバイスからお聞かせいただけますか?
【藤森】日本人の採用と外国人の採用について、「同じところ」と「違うところ」を意識することが大事です。たとえば、働く環境の整備や労働条件については同じですが、外国人には「就労ビザ」という制度があるので、この部分だけでも大きく異なります。面接をして好印象を持った方がいたとしても、就労ビザの仕組みによって採用が難しくなるケースもありますからね。

――前提として、就労ビザについて理解しておく必要がありますね。ほかに外国人の方を受け入れるにあたり、配慮すべき点は?
【藤森】住居の用意や病院への付き添いなど、勤務時間外でのサポートが必要になる点も考慮しておく大切な部分です。日常生活を快適に送れるためのサポートは、働く上でも大きく影響しますから。

――では、採用に当たり、日本人と外国人で共通して意識すべきポイントはありますか?
【藤森】外国人材の採用を「単純な労働力」や「人手不足を解消するための手段」と捉えないことが重要です。そのためには、採用を検討する段階から「どのような人材を受け入れたいか?」「どんなキャリアを積んでもらいたいか?」という部分を、しっかりと考えておく必要がありますね。



――現状、「技能実習制度」は 「外国人材=労働力を補う」というイメージが強いようにも感じます。
【藤森】そうですね。「なぜ、技能実習制度があるのか?」ということが、現場レベルまで浸透していないのかもしれません。さらに、その仕組みが複雑なため、「労働力を補う」という視点になりがちなのです。実習生も「人」であり、その人の人生がある。その人のキャリアをしっかりと描きながら、制度を利用するか否かを決めることが大切だと思います。

――藤森さんが技能実習制度に関する相談を受けた際、必ず伝えられていることはありますか?
【藤森】先ほどの話にも関連しますが、「受け入れる方のキャリアをどのように考えていますか?」ということをお聞きするようにしています。その回答によっては、別の就労ビザでの招へいの方が良いという場合もありますからね。

――では、実際に外国人材を受け入れるにあたり、どんなことを心得ておくべきでしょうか?
【藤森】これは技能実習生に限ったことではないのですが、良い人材だとしても、ずっと働き続けてもらうことはできません。受け入れ側は帰国することを前提に、「どのような“ステージ”で活躍してもらえるか?」をしっかりと決めておく必要があります。また、日本人との大きな違いは、「コミュニケーションのあり方」です。労働条件などの説明をするとき、業務の指示を出すときなどには、曖昧な表現はせず「はっきりと」「明確に」が基本です。見て学ぶ、場の空気を読むなどは一切通用しません。



――私たちが「わざわざ説明しないこと」についても、明確な答えを用意しておく必要がありますね。
【藤森】はい、そのとおりです。たとえば、初任給を「20万円から経験により優遇」と定めていた場合、「なぜ、一番低い20万円なのか?」「優遇されていないのは、なぜか?」という質問に対して、しっかりとした説明が求められます。後にトラブルに発展しないためにも、コミュニケーションのあり方は、外国人材と関わる(社内)すべての人に認識してもらう必要があるでしょう。

――最後に外国人材の採用(受け入れ)にあたり、藤森さんが日頃から感じていることをお聞かせいただけますか?
【藤森】日本人、外国人を問わず、人の採用と育成は企業の重要な課題だと思います。平成、令和世代の日本人、外国人と向き合うには「温故知新」です。昭和の時代を否定するわけではありませんが、新しいものを受け入れながら、日々成長してゆかなければなりません。

おそらく現代は、単に人を「労働力」として扱うのではなく、「気持ち」の部分も重んじるため、悩みが大きくなるのでしょう。言い換えると、それは「組織」と「個人」の関係です。たとえば”飲みニケーション”にしても、かなり変化しましたよね。

今こそ「人」が活躍し、成長するフィールドだという意識を持ちながら、「温故知新」を踏まえた組織づくりが重要ではないでしょうか。


▶【ハマ街ビト】番外編(前編)、本編もお楽しみください。
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