2019年05月16日
【くらしに関するトラブル対処法】相続前に他の相続人が財産を使い込んでいたとき
LTRでは、本ブログを通して皆さまのお役に立てるくらしに関する法律知識・情報を定期的に発信していきます。
今回はトラブル対処法「相続前に他の相続人が財産を使い込んでいたとき」を紹介します。
<状況>
●相談者…兄を一人もつ既婚の女性
●父親が10年以上前に亡くなり、母親は認知症で介護施設に入所中
●実家に住んでいる兄が勝手に母親の口座から現金を引き出して使っているらしい
●兄が勝手に使い込んだ財産を取り戻すことは可能か?
<解決法>
被相続人(このケースだとお母さん)の遺言書に指定がない限り、勝手に使い込まれた相続財産は取り戻すことができます。ただ、お母さんが認知症だとすると、ご自身で口座状況を判断することは難しいですね。そこで、相続人の一人である相談者が、「知らない多額の引き出しがないか」「相続予定の財産金額が違わないか」などをきちんと調べることが大切です。
■使い込まれたお金の取り戻し方
「不当利得返還請求」を行えば、使い込まれた相続財産を取り戻せます。これは法律で認められている規定で、「正当な理由もないのに他人に損失を与えて利益を得た人は、損失者に対して利益を返還しなければならない」という内容。つまり、仮に正当な理由もなく被相続人相続財産を使い込んだ相続人は、そのことで損をした他の相続人が「不当利得返還請求」を行えば、使い込んで得た利益を返還しなければいけないわけです。
■「不当利得返還請求」で取り戻せる金額
「不当利得返還請求をした相続人の法定相続分まで」と規定されています。たとえば、お兄さんが使い込んだ金額が1,000万円だとしても、相続人(このケースでは相談者)の法定相続分が500万円の場合、取り戻せる金額は500万円までとなります。
■不当利得返還請求に必要なもの
「不当利得返還請求」を行うためには、証拠となる資料を提出する必要があります。このケースの場合は、被相続人(お母さん)の通帳はもちろん、「お兄さんがお金を引き出して、使い込んだこと」を証明するものが必要になります。
■「お母さんのために」と言われたら
お兄さんは「お母さんの生活費や介護費のために引き出した」と弁明するかもしれません。その場合は、まず「銀行口座から引き出された金額と、実際の生活費や介護費にかかった費用の差額」をチェックするといいでしょう。その差額によって、お兄さんが使い込んだかどうかを判断できるはずです。また、お母さんの認知症が重度の場合は、「いつごろから判断できなくなったか」を確認できるカルテや診断書が必要です。
■決着がつかない場合は弁護士に相談
お兄さんの話で不審な点が拭い切れない場合、他の相続人(相談者)の請求に応じない場合は、弁護士に相談するといいかもしれません。トラブルが長引いたり泥沼化したりすれば、最終的には裁判を視野に入れた交渉が必要になりますので、相続のプロである弁護士に任せるのが後々のためにもなると思います。
■最後の手段は、裁判所への訴訟
弁護士との交渉でも相手が応じなければ、最終的に裁判所に訴訟することになります。ただ、親族間の裁判沙汰となるとストレスになることも多いと思われますので、それなりの覚悟が必要ですね。
今回はトラブル対処法「相続前に他の相続人が財産を使い込んでいたとき」を紹介します。
<状況>
●相談者…兄を一人もつ既婚の女性
●父親が10年以上前に亡くなり、母親は認知症で介護施設に入所中
●実家に住んでいる兄が勝手に母親の口座から現金を引き出して使っているらしい
●兄が勝手に使い込んだ財産を取り戻すことは可能か?
<解決法>
被相続人(このケースだとお母さん)の遺言書に指定がない限り、勝手に使い込まれた相続財産は取り戻すことができます。ただ、お母さんが認知症だとすると、ご自身で口座状況を判断することは難しいですね。そこで、相続人の一人である相談者が、「知らない多額の引き出しがないか」「相続予定の財産金額が違わないか」などをきちんと調べることが大切です。
■使い込まれたお金の取り戻し方
「不当利得返還請求」を行えば、使い込まれた相続財産を取り戻せます。これは法律で認められている規定で、「正当な理由もないのに他人に損失を与えて利益を得た人は、損失者に対して利益を返還しなければならない」という内容。つまり、仮に正当な理由もなく被相続人相続財産を使い込んだ相続人は、そのことで損をした他の相続人が「不当利得返還請求」を行えば、使い込んで得た利益を返還しなければいけないわけです。
■「不当利得返還請求」で取り戻せる金額
「不当利得返還請求をした相続人の法定相続分まで」と規定されています。たとえば、お兄さんが使い込んだ金額が1,000万円だとしても、相続人(このケースでは相談者)の法定相続分が500万円の場合、取り戻せる金額は500万円までとなります。
■不当利得返還請求に必要なもの
「不当利得返還請求」を行うためには、証拠となる資料を提出する必要があります。このケースの場合は、被相続人(お母さん)の通帳はもちろん、「お兄さんがお金を引き出して、使い込んだこと」を証明するものが必要になります。
■「お母さんのために」と言われたら
お兄さんは「お母さんの生活費や介護費のために引き出した」と弁明するかもしれません。その場合は、まず「銀行口座から引き出された金額と、実際の生活費や介護費にかかった費用の差額」をチェックするといいでしょう。その差額によって、お兄さんが使い込んだかどうかを判断できるはずです。また、お母さんの認知症が重度の場合は、「いつごろから判断できなくなったか」を確認できるカルテや診断書が必要です。
■決着がつかない場合は弁護士に相談
お兄さんの話で不審な点が拭い切れない場合、他の相続人(相談者)の請求に応じない場合は、弁護士に相談するといいかもしれません。トラブルが長引いたり泥沼化したりすれば、最終的には裁判を視野に入れた交渉が必要になりますので、相続のプロである弁護士に任せるのが後々のためにもなると思います。
■最後の手段は、裁判所への訴訟
弁護士との交渉でも相手が応じなければ、最終的に裁判所に訴訟することになります。ただ、親族間の裁判沙汰となるとストレスになることも多いと思われますので、それなりの覚悟が必要ですね。