LTR通信
2023年01月24日 [LTR通信]
「LTRのさかなの目〜ヨコハマの潮流を読む」(LTR通信News連動コラム)「利用者目線の大切さ」
LTR通信2022秋冬号より、紙面「LTR通信News」との連動記事(コラム)として、こちらの「LTRのさかなの目〜ヨコハマの潮流を読む〜」がスタートしました。毎回担当の先生方に、日頃感じていることや最近のトピック、横浜(地域)の情報などをお話しいただくリレー形式のコラムです。
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第五回は、税理士の加藤 博明氏によるコラムです。ぜひご覧ください。
私はかつてより、認知症の啓発活動に参加しています。その活動は、「認知症の方と家族が安心できる場所」「認知症の啓発の拠点」となる”ハウス”をつくり、新たな価値を生み出すものです。(この内容は、LTR通信2021年冬号でもご紹介しています)
LTR通信2021年冬号「広告医学の学びと認知症の啓発活動で得たもの」
その活動を通じて、私は「広告医学」(現在は更に発展した考え方「ストリートメディカル」という考え方に出会いました。これは、「環境をデザイン”することで、行動を変えてもらおう」とするもので、私も日々の業務行う中でこの考えを意識し、取り入れることを心がけています。
そんな中、私は先日ある記事に目を奪われました。見出しには“年間1億稼ぐ人も!? 麻雀やパチンコができる介護施設”と書かれています。それは、関東を中心に全国22店舗を展開している「デイサービス ラスベガス」という介護施設の紹介記事でした。
読んで字のごとく、施設内のフロアには数台の全自動麻雀卓、壁際にはパチンコ台やパチスロ機が設置されていて、ギャンブル?に興じている利用者の姿があり、見学にいった方は「ここは本当に介護施設なのか?」と目を疑うほどだ、とありました。
もちろん、麻雀やパチンコをするには利用料がかかりますが、現金ではなく「ベガス」という施設内の専用通貨でやり取りされるそう。そして、この「ベガス」は毎日行われる機能訓練(体操やストレッチなど)に参加することで受け取れるため、積極的かつ自発的に機能訓練へ参加する方が増えたとのことでした。
ではここで、「広告医学」について少し触れてみましょう。例えば、土俵上で紙相撲をする『トントンボイス相撲』(世界ゆるスポーツ協会)。これは、大きな声で「トン、トンと声を発生し、その発生を検知して土俵下に振動を与え紙相撲として楽しむもので、「喉のリハビリ」になるスポーツとも言われています。
このような声の発生は、飲み込む力が衰えることで発症の可能性が高くなる「誤嚥性肺炎」などの予防にもなります。単純に『肺炎にならないように発声練習しましょうね』『体操しましょうね』というのではなく、トントン紙相撲というゲームを通じて、自然に『トン、トン、トン・・・』と声を発するようになり、これが結果として発声の機能訓練になっていくのです。
一方的に“やってもらう”のではなく、気がつけば“自発的にやっている” 。こちらのデイサービスの中には、そんな工夫やアイデアが多く盛り込まれているなぁと、興味深く感じながら記事を読み進めていきました。
そんな中で私が最も興味をひかれたのは、この介護施設の「送迎車」についてです。もともとは、一般的な白い車に「〇〇デイサービス」といった事業者名が大きく書かれた送迎車だったそう。しかし、あるとき利用者の方から「事業者名の名前が入った車だと、介護施設に行っているのが周囲に分かって嫌だ」という声があがりました。
そこで考えられたのが、送迎車のイメージを根本から見直すこと。現在は、実際にカジノで使われているような黒のワンボックスカー(金色で書かれた“LasVegas”の文字入り)に変更し、同乗するスタッフの服装も、旅気分を味わえるようなキャビンアテンダントをモチーフにした制服に変えたそうです。
事業者からすれば、清潔なイメージのある白い車に事業者名を入れ、街中を走ることでは広告にもつながります。この考え自体は決して間違っていませんが、極端に言えば、それは“事業者目線”であり、利用者がどう思うか?といった“利用者目線”の要素はないのかもしれません。
わたしたちの業務も決して例外ではなく、ともすると無意識に事業者目線で考えてしまっているケースもあるはずです。改めてこの記事を通じ、わたしたちLTRが最も大事にしている「”利用者目線”で考えられているか?」という視点に立ち返ることができたように思います。
2023年は、この部分もしっかりと意識しながら、多くの皆さまの経営上のお悩みや課題解決をサポートできるよう、サービスの質をより一層高めていきたいと思っています。(税理士 加藤 博明)
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●参考●
TBS NEWS DIG Powered by JNN,年間“1億”稼ぐ人も!? 麻雀やパチンコができる介護施設 その名も「ラスベガス」“従来型”施設のクレームを解決したら見たことのないデイサービスに,2022年12月4日(日) ,
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/219948?display=1, (参照2022-12-05)
●出典●
LTR通信 VOL.02(2021年冬号)LTRビト「広告医学の学びと認知症の啓発活動で得たもの」(税理士 加藤 博明)
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第五回は、税理士の加藤 博明氏によるコラムです。ぜひご覧ください。
気になる記事には「デイサービスで麻雀」の文字
私はかつてより、認知症の啓発活動に参加しています。その活動は、「認知症の方と家族が安心できる場所」「認知症の啓発の拠点」となる”ハウス”をつくり、新たな価値を生み出すものです。(この内容は、LTR通信2021年冬号でもご紹介しています)
LTR通信2021年冬号「広告医学の学びと認知症の啓発活動で得たもの」
その活動を通じて、私は「広告医学」(現在は更に発展した考え方「ストリートメディカル」という考え方に出会いました。これは、「環境をデザイン”することで、行動を変えてもらおう」とするもので、私も日々の業務行う中でこの考えを意識し、取り入れることを心がけています。
そんな中、私は先日ある記事に目を奪われました。見出しには“年間1億稼ぐ人も!? 麻雀やパチンコができる介護施設”と書かれています。それは、関東を中心に全国22店舗を展開している「デイサービス ラスベガス」という介護施設の紹介記事でした。
読んで字のごとく、施設内のフロアには数台の全自動麻雀卓、壁際にはパチンコ台やパチスロ機が設置されていて、ギャンブル?に興じている利用者の姿があり、見学にいった方は「ここは本当に介護施設なのか?」と目を疑うほどだ、とありました。
もちろん、麻雀やパチンコをするには利用料がかかりますが、現金ではなく「ベガス」という施設内の専用通貨でやり取りされるそう。そして、この「ベガス」は毎日行われる機能訓練(体操やストレッチなど)に参加することで受け取れるため、積極的かつ自発的に機能訓練へ参加する方が増えたとのことでした。
“自発的にやっている“ことの大切さ
ではここで、「広告医学」について少し触れてみましょう。例えば、土俵上で紙相撲をする『トントンボイス相撲』(世界ゆるスポーツ協会)。これは、大きな声で「トン、トンと声を発生し、その発生を検知して土俵下に振動を与え紙相撲として楽しむもので、「喉のリハビリ」になるスポーツとも言われています。
このような声の発生は、飲み込む力が衰えることで発症の可能性が高くなる「誤嚥性肺炎」などの予防にもなります。単純に『肺炎にならないように発声練習しましょうね』『体操しましょうね』というのではなく、トントン紙相撲というゲームを通じて、自然に『トン、トン、トン・・・』と声を発するようになり、これが結果として発声の機能訓練になっていくのです。
一方的に“やってもらう”のではなく、気がつけば“自発的にやっている” 。こちらのデイサービスの中には、そんな工夫やアイデアが多く盛り込まれているなぁと、興味深く感じながら記事を読み進めていきました。
利用者目線で考えているか?
そんな中で私が最も興味をひかれたのは、この介護施設の「送迎車」についてです。もともとは、一般的な白い車に「〇〇デイサービス」といった事業者名が大きく書かれた送迎車だったそう。しかし、あるとき利用者の方から「事業者名の名前が入った車だと、介護施設に行っているのが周囲に分かって嫌だ」という声があがりました。
そこで考えられたのが、送迎車のイメージを根本から見直すこと。現在は、実際にカジノで使われているような黒のワンボックスカー(金色で書かれた“LasVegas”の文字入り)に変更し、同乗するスタッフの服装も、旅気分を味わえるようなキャビンアテンダントをモチーフにした制服に変えたそうです。
事業者からすれば、清潔なイメージのある白い車に事業者名を入れ、街中を走ることでは広告にもつながります。この考え自体は決して間違っていませんが、極端に言えば、それは“事業者目線”であり、利用者がどう思うか?といった“利用者目線”の要素はないのかもしれません。
わたしたちの業務も決して例外ではなく、ともすると無意識に事業者目線で考えてしまっているケースもあるはずです。改めてこの記事を通じ、わたしたちLTRが最も大事にしている「”利用者目線”で考えられているか?」という視点に立ち返ることができたように思います。
2023年は、この部分もしっかりと意識しながら、多くの皆さまの経営上のお悩みや課題解決をサポートできるよう、サービスの質をより一層高めていきたいと思っています。(税理士 加藤 博明)
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●参考●
TBS NEWS DIG Powered by JNN,年間“1億”稼ぐ人も!? 麻雀やパチンコができる介護施設 その名も「ラスベガス」“従来型”施設のクレームを解決したら見たことのないデイサービスに,2022年12月4日(日) ,
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/219948?display=1, (参照2022-12-05)
●出典●
LTR通信 VOL.02(2021年冬号)LTRビト「広告医学の学びと認知症の啓発活動で得たもの」(税理士 加藤 博明)